介護業界の人材不足と国の対策


あなたは「介護難民」という言葉をご存知でしょうか。
これは、65才以上で介護が必要であるにも関わらず、介護ケアが受けられない人たちのことを指します。このことがいま、大きな問題となっています。

介護難民が大量に生まれてしまっている背景には、深刻な少子高齢化と、介護業界における人材不足があげられます。とりわけ人材不足は、介護業界に暗い影を落とし続けています。

高齢者の急増と人材不足は、密接に関係しています。
高齢社会白書(平成28年版)によれば、日本の総人口は減少に向かっていますが、高齢者の数は増加の一途をたどっています。この流れはこれからも確実に進んでいき、我が国の人口の割合において、2025年には約3割、2060年には約4割が65才以上になるともいわれています。
このことに伴って、介護利用者の数も飛躍的に伸びていくでしょう。

しかし一方で、拡大し続ける介護需要に対して、サービスの提供が全く追いついていません。
その理由は、言うまでもなく人材不足です。介護サービスの供給がままならない状況にありながら、老々介護による家庭内の疲弊、虐待、介護者のうつ病や自殺など、介護にまつわる悲劇も後を絶ちません。

そこで国が打ち出した方針が、「出入国管理及び難民認定法」の改定による、海外からの労働力の確保です。
国は同法改定により、介護業界において6万人の労働者の増加を期待していますが、思惑どおりの結果につながるかどうかが注目されるところです。

高齢化の波は、もうどうにもできません。これから来る2025年問題に備えるためには、まず私たち一人一人がこの問題について知識を深めることが大切です。特に若い世代の方は関係ないと思いがちですが、いずれ親の介護、自分の老後は絶対的に対峙することであり、決して他人事とは言えません。自分の将来のために、そして日本の未来のために、2025年問題の実態をきちんと把握しておきましょう。